今の本市の対応は何事にもお
ざなりであるという声も聞かれますが、このことに対する御見解と今後の対応をお聞かせください。
また、先ほど申し上げました
養成事業において、私も申し込んだのですが、抽選で実は漏れまして、たまたま家内が参加をすることができまして、その際にさまざまな実態を見てまいりまして、いろいろなことを身近に勉強させていただくことができたわけですが、その中で特に気になりましたのが、全盲の方のところに介護に伺った折に、市からの通知を読んでほしいと言われたそうでございます。不思議に思って見てみますと、ほかの九州電力さんやNTTさんからの通知は点字で届いていたにもかかわらず、市からのものだけが一般のものと同じような印刷物であったとのことでした。
ささいなことではありますが、これは余りにも不親切ということだけでなく、「心のかよう
まちづくり」を幸せの条件の一つに掲げていらっしゃる三角市長の方針にも反し、また市民からの信頼を失うもとになるものと考えます。せめて点字で通知を出すぐらいの配慮をすべきではないでしょうか。
また、これが氷山の一角であると考えれば、ほかの方々にもこういうことが起こり得るわけで、高齢者や障害者の方への対応には個人別の
データベースを活用し、それぞれの方の状況に合わせたきめ細かな対応を考えていくことこそが心のかよう
まちづくりになるのではないでしょうか。さらに、その訪問研修の折に伺ったことですが、現場のヘルパーさんの中には、もっと働きたくとも介護に訪問する家がなく暇であるという声も聞かれるようです。確かに公社分で見てみますと、百名のヘルパーさんが、平日換算で一日三時間弱の実働しかないようです。これから考えますと、要介護者のニーズの
掘り起こし、また制度の広報及び制度自体に問題がないかということを考えてしまうわけですが、あわせてお尋ねをいたします。
続いて、高齢者や障害者に対する施設のバリアフリーについてお尋ねをいたします。
先日、新東京国際空港公団が
日本ウェルエージング協会の指導を受けて、
成田空港ターミナルビルの高齢者にとっての壁を調査されております。これは単なる調査ではなく、カナダのオンタリオ州政府が開発した
高齢者疑似体験の用具を装着し行われました。
インスタントシニアと呼ばれるこの用具とは、耳栓やゴーグルを使ったり、指を二本ずつ縛ったり、空気を注入したサポーターを巻いたりして視野を狭くし、耳が遠くなり、動きが不自由になる
高齢者特有の状態を再現するものです。また、岡さんという大学教授が、大学で学生たちにこの用具を装着させてレポートをとっていらっしゃいますが、それに共通していたことは、階段の昇降は拷問であった、この用具を脱ぎ捨てられない高齢者が大勢いるといったような内容が挙げられたようです。
ところで、成田空港ではこの調査の結果、
エスカレーター昇降時の平らになる踏み板の枚数とか、案内表示の
コントラストが低く見にくいなどの結果が出ていたとのことですが、私はここに一つのヒントを感じました。現在、本市でも施設設計の折には国の基準にのっとって、高齢者や障害者が安全に利用できるよう
物理的障害を除去した設計がなされております。しかし、しょせんは健常者が考えることであり、例えばさきの案内表示の
コントラストなどは思いもつかないことではないでしょうか。
そこで、本市でも施設の設計者及び企画者がこの用具を装着してみることによって、その立場の方の意見を聞く以上にきめ細かな配慮が行き届いて、より人にやさしい施設を建設することができるのではないでしょうか。新しい取り組みではありますが、心の通う施設をつくるためにはぜひ必要と思われるこのシステムの導入に対する考えを賜りたいと存じます。
〔
市民生活局長 市原敏郎君 登壇〕
◎
市民生活局長(
市原敏郎君)
下川議員にお答えを申し上げます。
マンパワーの養成についての御質問でございますが、家庭介護をされている御家族は、毎日、夜、昼となく介護に追われ、その御苦労を思うと、さらなる
在宅福祉の充実が必要であると改めて認識をいたすものであり、行政や家族、また地域が一体となって初めて真の
在宅福祉ができ上がるものであると考えます。
このようなことから、地域において
在宅福祉を支えておられる方々に対しても
介護研修は必要なものでございます。今後は、市民のニーズに十分対応できるよう研修ができますよう国、県にも働きかけながら拡充に向けて努力をしてまいりたいと考えます。
次に、
視覚障害者の方々への市からの通知文は点字でという御質問でございます。
本市におきましては、
視覚障害者の方に、市政だよりを点字、拡大文字、音声に直して配付をいたしております。このように特定のものにつきましては既に実施をしておりますが、ただいま御指摘のような個別の文書につきましてはいまだ取り組みがおくれておるのが現状でございます。今後、できるものから確実に実施に向け努力をしたいと考えます。
また、
データベースの活用については、個人のデータをどの程度収集するのか、また個人情報に関する
プライバシーの問題、情報管理の問題などクリアしなければならないいろいろな問題がございます。したがいまして、この御提案につきましては慎重に検討させていただきたいと考えます。
次に、
ホームヘルプサービス事業のニーズの
掘り起こしと広報及び制度についての御質問でございますが、
ホームヘルプサービス事業は、これまで休日を除く週二回の限定的な
サービスにとどまっておりましたが、利用者のニーズに応じて提供できるよう今年度からは三百六十五日、早朝、夜間の
サービスを開始いたしております。
さらに十月からは二十四時間巡回型の
サービスを開始することとしておりまして、高齢者、障害者にとって利用しやすく、より充実した制度となってまいりました。
また、広報やニーズの
掘り起こしにつきましては、高齢者、
障害者介護に関する地域での窓口として
在宅介護支援センターを設置いたしており、センターでは地域の方々とのネットワークによって情報の交換を行い、ニーズの
掘り起こしにも努力をしているところでございます。今後、隅々まで浸透しますよう努力をしたいと思います。
インスタントシニアの導入についてのお尋ねでございます。
そのような疑似体験は、健常者にとっては何でもない障壁が、高齢者や障害者にとってはひどい苦痛をもたらすものであることを肌身をもって知ることができる大変有意義なことであろうと考えます。今後、議員の貴重な御提案を踏まえまして、そうした用具の導入がどのようなところで、またどのような形で可能なのか研究をさせていただきたいと思います。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君)
マンパワーにつきましては、
介護研修の必要性ということは十分に認識をされているようでございますが、市民のニーズを満たすように今後しっかりとした拡充を図っていただきたいと思います。また若干の予算も伴いますので、財政当局の方もあわせて御理解を含めた努力をお願いいたしたいと思います。
また、申し上げました点字の通知につきましては、
点字ワープロが一台あれば簡単にできる問題であると思いますので、検討をされるよりもすぐに実施を図ってやさしい
まちづくりに心がけていただければと思います。
また、
データベースの活用の問題につきましては、余り多くのものを入れまして、確かに
プライバシーの問題があるかもしれませんけれども、それに問題のない範囲のことでも結構ですので、いち早く実施をしませんと
まちづくりに心が通わないということになると思いますので、簡単な部分でも結構ですので、いち早い導入をお願いしたいと思いますし、またそういった方々も含めまして、ニーズの
掘り起こしについても一層の努力をお願いいたしまして、制度を生かしていただきますようお願いいたします。
また、
インスタントシニアと呼ばれる用具につきましては、熊本にもこの用具、ございます。まずその人の身になって考えるということを頭に置いていただきまして、まず、どういったものか、執行部の方々にも試していただきたい。そして早い時期での活用をお願いいたしておきます。
次に、
生活保護に関してお尋ねをいたします。
平成七年度、本市では百四十七億円程度が
生活保護の扶助費として支出をされまして、このうち四分の一を本市で負担する関係上、三十六億円強のお金がそのために出ていっております。これについては、憲法で保障された生存権のこともあり、また相互扶助の精神からも制度が必要であることは論をまたないところであると思います。
しかし、近年さまざまな問題がこれに関して話題となり注目をされておりますが、私も細かな調査を自分で行うことはできないものの、人の話では、あの人は元気で働けるのに働かずに金をもらってパチンコばかりしているとかいうことが往々にしてささやかれておりまして、事実関係はわかりませんし、しょせんうわさにすぎないのでしょうが、現実に給付を受けている金額として、例えば標準三人世帯では月額十五万七千百十円、これが母子家庭になりますと二万三千円程度が加算になりまして、これは当然非課税でありますし、さらにさまざまな特典があるというお話を一般の市民の方にいたしますと、熊本市における
中小零細企業勤労者の収入より多いんじゃないかという疑問を持たれ、確かに私の聞き取り調査でもそういったような事実もあるようです。
また、もし先ほどのうわさが事実ならば、自分たちは働かずに遊ぶ者を養うために納税をしているのではないという憤りと不満の声が返ってきまして、これには全く私も同感でございます。そして、これにはきちんとした理由があるのでしょうが、まるで今ほどの話を裏づけるかのように、全体受給者の六五%強が五年以上の給付を受けているという事実もあるわけです。
先般、中核市になった記念式典の中のケント・ギルバート氏の講演で、福祉とは自立であり、これができなくなれば家族に頼り、民間に頼り、行政に頼る。そしてまた自立へと戻っていくサイクルであるという話がありましたが、まさに同感であり、福祉とは与えるのみのものではなく、その個人の自立を助けるものでなくてはならないと考えるのは私ばかりではないでしょう。当然、この
生活保護という制度も与えるのみのものであってはならないわけでして、執行部におかれましてもよく御理解のことと存じますが、先ほど申しましたように、一般市民から誤解を招きかねないようなことがあってはならないわけです。
そこでこの際、思い切って給付を短期のものに限定し、例えばその間に病気が治っていないとか正当な理由があれば更新は認めるものの、自立への努力が欠如しているとか、就労に対しあっせんしてもえり好みをして就労しない者へは給付を打ち切るなどの英断が必要ではないでしょうか。
不本意ながら、えり好みせずに就労し、低い賃金でもまじめに暮らしている市民に不快な感情を持たせず、またばかを見ないようにすると同時に、貴重な市税を真剣に運用する責任が行政にはあると思うわけですが、このことに対するお考えを賜りたいと存じます。
続いて、子供の健康な発育と老後の健康についてお尋ねをいたします。
昨年の第二回定例会におきまして乳幼児の医療費の助成の拡大について質問をしまして、その中で特に子供の歯の健康の重要性を指摘し、歯科診療だけでも四歳児までの拡大をお願いいたしました。その折、とりあえず三歳児、四歳児における特別の
歯科衛生関連事業を実施する旨の答弁をいただいておりましたが、まだ実施された話を耳にしておりませんし、
歯科医師会の御協力をお願いしてということでございましたが、まだ何のお話もされていないようです。どうなっているのでしょうか。
また、この
歯科診療助成の拡大については当時詳しく述べておりますが、ゼロ歳児、一歳児の歯科疾患がほとんどなく、三歳、四歳に格段に増加すること、このときの虫歯は進行が早く永久歯に影響を及ぼすこと、これが将来の歯列不正を招き、それが発音不正や吃音の原因となっていじめの原因となること、また栄養の吸収に影響を与えて骨格の形成を阻害すること、及び老年期の歯の保全から来る健康維持に大きく影響することを理由として重大な問題であると指摘したわけでございます。
私ごとで恐縮ですけれども、私の三歳になる娘も先月で助成の期間が切れるため、こすい気持ちを起こしまして、軽い気持ちで歯科に連れていきまして診察を受けましたところ、目では見えにくいところに九本も虫歯がありまして、既に永久歯に影響する一歩手前で、何とか大事に至らずに済みました。
このことから考えますと、助成の
対象年齢が引き上げられれば、より幼児の健康と将来の健康な生活に寄与できるのではないでしょうか。私の試算では、
対象年齢を二歳引き上げたところで三千万から四千万程度の支出であり、この医療助成の全体事業費の五億七千万円という数字から見れば増加率もわずかなものであるわけですし、この三千万から四千万という金額も、先ほどのような理由で健康が維持できれば、トータルで考えると
国民健康保険会計の減額になると考えられ、健康である分得をしたように思われます。
当時の答弁ではそれが大変困難であるということでしたが、一方では莫大な財源が伴う
高齢者無料パス券の交付などの事業が新規に行われております。高齢者のことを考えてあげるのは当然のことですが、将来高齢者になった場合の健康が維持できることに大きく寄与するであろうことに加え、また壮年期にでもより健康な生活が送れるであろう、このような歯を大事にするという事業が少ない財源でできるにもかかわらずなぜ困難なのか、一年間考えた今でもやはりまだ理解ができません。県の補助がつかなければ、たとえわずかな支出でも事業化ができないのでしょうか。または目先の
ばらまき福祉にばかり目が向いているのでしょうか。
三角市長は、先日行われた
在宅寝たきり老人歯科診療シンポジウムにおいて、口は健康のもとであり、歯科保健は重要であり、健康と命を大切にするやさしい
まちづくりを行っていくとごあいさつをされ、この趣旨からすれば市長には御理解をいただけるものと思いますが、改めて、このことに対するお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
また、子供の歯は胎児のときにつくられるために、妊婦の
栄養指導もこのことについては重要なわけですが、先日学会におきまして、食品の添加剤によって妊婦の消化器系にできたアトピーが胎児に感染をし、これにより乳幼児の
アトピーが多いという内容の発表がありました。これが事実だとしますと、妊婦の
栄養指導を現在のものより強化し、新規にこのような指導を加えることによって、多くの親の悩みの種である乳幼児の
アトピーの問題も減少し、また生涯を通じての健康も保ちやすくする、まさに一石二鳥との感もいたしますが、この妊婦の
栄養指導に関しまして、以上のことを踏まえた上での今後の対応をあわせてお聞かせいただきたいと存じます。
〔
市民生活局長 市原敏郎君 登壇〕
◎
市民生活局長(
市原敏郎君) お答えを申し上げます。
生活保護は、国民の最低生活を保障すると同時に、その自立を助長することを大きな目的としていることは議員御指摘のとおりであります。
生活保護の受給者にはいろいろな方がいらっしゃいます。その世帯に対し、働く能力、病状の把握などを継続的、定期的に行い、必要な指導をするとともに、自立を助長するため、個々の状況に応じきめ細かに支援を行っていくことが私どもに課せられた務めであると考えます。今後とも、
生活保護の理念を原点として、保護の実施に真剣に取り組んでいく所存であります。
次に、
歯科診療費助成の
対象年齢の引き上げについてのお尋ねでございます。
諸条件の整備ができましたならば、新年度実施の方向で検討してまいります。
〔
保健衛生局長 工藤 磐君 登壇〕
◎
保健衛生局長(工藤磐君)
下川議員に妊婦の
栄養指導についてお答えいたします。
近年増加しています乳幼児の
アトピーにつきましては、乳幼児がどのようにして
アレルギー原因物質に感作されるのか、まだ不明の点が多いようですが、妊娠中の偏った食生活等に起因する母体由来の
アレルギーということも十分考えられるところであります。
このようなことを踏まえ、本市では、厚生省が平成六年三月に示した
アトピー性皮膚炎生活指導ハンドブック等に基づき、一定の食品に偏らず、広い範囲の食品をバランスよく摂取することを主眼として妊婦の
栄養指導に当たっているところでございます。
議員御指摘の趣旨を踏まえ、今後とも、妊婦を初めとした市民への正しい情報の提供と相談指導の充実を図るため、スタッフの
専門的研修に一層努めてまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君)
生活保護を私は即刻打ち切れと言っているのではありませんし、
生活保護の
短期打ち切りというのは極端な話で申し上げたわけでございますが、
生活保護も必要な人に必要なだけというのは当然のこと、当たり前のことだと思います。ただ、今の局長の御答弁のとおり、自立を助長することが福祉の真の目的ということはよく認識をされているようですし、これが福祉の垂れ流しにならないように真剣に指導し、また支援をしていっていただきたいと思います。
妊婦の
栄養指導につきましては、ごく最近、先ほど申し上げました食品との因果関係が学会で確実に証明をされたと聞いております。健康に大きくかかわるだけに注意して指導をしていっていただきたいと思いますし、またスタッフに専門研修をされる際に、現状でもスタッフの方が足りないということを聞いておりますけれども、スタッフが足りなければ命にもかかわる問題であるだけに、どんどん増員をして指導に当たっていただきたいと思います。
また答弁いただいた中で、何よりも子供の歯の助成につきましては新年度から実施の方向ということで、大英断に心から感謝申し上げます。小さな子を持つ市内数万人の親になりかわりまして、この場で心よりお礼を申し上げたいと思います。あとは確実で誠意ある実行をお願いいたしておきます。
次に、未来を託す青少年の育成について四点のお尋ねをいたします。
まず、野外教育についてでございますが、実は昨年の夏、本市近郊の町の河原において、本市の職員二名が川で流されておぼれている子供五人を救助したことがございました。うち一人は既に川底に沈んでいたとのことでありましたが、幸い救助が早かったため大事には至らず、隠れた善行となったわけですが、すぐ近くにいた数名の大人はどうしていいかわからずにおろおろしている中、この二名の職員の勇気には敬服するものがございます。
ただ、救助の後で、どうしてそのようなことになったのかを
子供たちに聞いてみましたところ、流れの速い川であるにもかかわらず、簡単に泳いで渡れると思ったとのことであったようです。
近年、アウトドアがブームとなる中で、
子供たちが自然と触れ合う機会も多く、また
本市教育委員会においても、学校教育の一環としてのみならず
各種公民館事業の中でも自然に親しむ事業を多く考えられ好評を博しているようですが、その内容を調べてみますと、着衣での水泳訓練はあっているものの、さきの事件の原因となるような流水での泳法訓練、また水の恐ろしさを実感させるような事業は何ら実施されていないようでございます。
本来、こういうことは家庭で教育すべき問題でありましょうし、また私たちぐらいの年代になれば、子供のころ川で泳いだりして流れのあるところでの泳ぎ方や水の恐ろしさというものを体で知っているため、それを
子供たちに教えていけばいいだけの話であるわけですが、現代の社会情勢を考えるとなかなかそれもままならない家庭も多く、思うように伝えていけないというのが実情のようでございます。
そこで、監督の面などで難しいこともあるかもしれませんが、これを学校教育の中で受け持っていく必要があるのではないかと思うわけです。御所見をお伺いいたします。
続いて、
幼児教育に関してお尋ねをいたします。
現在、本市には五十八園の幼稚園があり、約一万人の幼児が通園をしており、就学以前の
幼児教育を、それぞれ特色を持って実施されております。しかし、うち五十一園は
私立幼稚園であり、その他公立の園と比較しますと、かなりその経営状態は苦しいようで、通園幼児の保護者にもかなりの負担がかかってきております。
例えば授業料一つとってみましても、熊本市立の園に通園すれば月に一律五千四百円であるのに対し、私立では平均一万八千円程度と開きがございまして、さらに園周辺の環境整備に関しましても、熊本市立の場合はその性質上本市にてある程度優先的に行われているようでございます。
簡単に試算をしてみますと、クラスに二十五名の幼児が在籍している場合、私立ではその収入は平均から考えますと四十五万円程度となります。職員給与を賞与込み平均二十五万円と考えますと、残りの二十万円で、水光熱費、衛生費、教材費、施設管理費等を捻出せねばならず、管理者給与まで考えますととても黒字になることは考えられないと思うわけでございます。
これに対し本市では、園当たり平均九十万円ほど、年額にして総額四千七百万円弱の私学助成しか行われておらず、これでは保護者に負担がかかっても当然という感もいたします。いくら義務教育でないとはいえ、就学前の
幼児教育を一手に引き受け、体育や音楽を通して文化の発展にも一役買っている幼稚園です。
また、幼稚園に通園させている保護者は、保育園の保護者と違い、主に世帯主の収入しかない中にあって、この負担を軽減できるよう私学助成金を増額していただくか、または、せめて園舎周辺の安全対策等の環境整備を本市において優先的に実施していただき、
幼児教育に対するよりよい環境づくりを図っていくべきではないかと考えますが、このことについてのお考えをお聞かせください。
〔教育長 後藤勝介君 登壇〕
◎教育長(後藤勝介君) 教育の問題に関して二点お答えを申し上げます。
まず野外教育について、特に水の事故などを防ぐためにどういう指導をするかという点でございます。
野外教育は、自分の安全を確保するために、自分で考え行動し判断する能力を育てていく上で大変意義のあるものと思っております。ただいまお話がございましたように、本来このようなことは家庭教育の分野で推進されるものであると思いますが、現在の社会情勢を考えますとなかなか困難な実情にございます。
しかしながら、
子供たちにみずからの命を守るための技能や判断力を身につけさせますことは重要な課題であると考えておりますので、学校教育においても取り組んでいるところでございます。
現在、各学校の水泳の時間では、衣服を身につけたまま泳がせることで水の怖さや泳ぎの困難さを体験させているところでございます。
今後はさらに、ビート板等を使ってプールの中に水の流れや波をつくり、その中での泳法訓練などを奨励してまいりたいと思います。このような取り組みを通して、
子供たちに危機に関しての対応の仕方を少しでも指導してまいりたいと思っております。
次に、
私立幼稚園への助成及び環境づくりについてでございます。
就学以前の教育におきまして、
私立幼稚園は大変重要な役割を担っております。そこで本市では、これまで
私立幼稚園の教職員の研究費や研修費に対する助成を行ってまいりましたが、ただいま御指摘がございましたように、今日の
私立幼稚園の経営状況には大変厳しいものがあると推察するところでございます。
本市といたしましても、平成七年度に助成額を増額したところでございますが、今後とも社会情勢の変化、保護者の負担の状況などを十分考慮しながら対応してまいりたいと思います。
また、幼稚園周辺の環境づくりにつきましては、園児が安心して通園できますように関係機関に要請してまいりたいと思います。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) 流れのあるところでの泳ぎ方と言いますか、そういったことは、教育長の御答弁のとおり家庭でやるのが本当に本当のことだと思いますし、また御推察のとおり、私もそれを子供になかなか伝える時間がなくて歯がゆい思いをしている一人でございます。ただ、御理解を得られたようで大変感謝申し上げます。安全性の問題もありまして、プールで流れをつくって水の怖さを知らせる、泳ぎ方を教えるというのはいい案であると思いますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。
また、
私立幼稚園の問題につきましては、子育て支援事業で保育園がクローズアップされる中で、今までちょっと忘れられていたような感もございます。今後
幼児教育ということを考えまして、しっかりと目を向けていただきたいと思います。
次に、教育の問題で教育委員会の会議についてお尋ねをいたします。
これまで数度にわたり質問の中でこの問題について触れてまいりまして、その結果として全国でもまれな事例として、この会議を公開していただきました英断に心から感謝を申し上げますと同時に、さすがは大熊本市の教育委員会であると敬服しておる次第です。
早速、制度ができ上がりましてから私も第一回目を含めて数回傍聴をしてみましたが、それまでの会議と違い、まあまあ熱心な討議がなされているようで、少しは安心したわけでございます。ただ、残念なのは傍聴者の少なさであり、一回平均五名ほどという結果には少々がっかりいたしておりますが、会議場所、開催時間及び広報体制にはまだ検討の余地があるのではないかとの感が強くいたします。
もともと、なぜ私がこのことを思いついてお願いしたかといえば、教育ということを学校という人任せにせず、みずからが参加して当事者意識を持ってもらい、社会全体で取り組む姿勢をつくる。このことが本当に教育を発展させるきっかけになると思い、現行法の中では、この会議への参加と教育委員さんの準公選で市民が参加することしかないと思ったからでございます。
このうち教育委員さんの準公選の問題につきましては田尻市長の時代に一度お伺いしており、三角市長にはまた日を改めまして御所見をお伺いいたしますが、今申し上げました理由によりまして、とりあえず教育委員会会議へのより多くの傍聴者を求める対策を考えたいと存じます。
例えば東京都の中野区では、昼間働いている方も傍聴できるように夜の時間帯に教育委員会の協議会が開催されておりますし、現在の広報体制につきましても、本市では、市政だよりには顕微鏡で見なければわからないような小さな活字でしか記載をされておらず、これでは、参加してみたいと思う人でもよっぽど注意していなければわからないのではないでしょうか。
失礼な言い方かもしれませんが、現在の状況を考えてみれば、下川がうるさかけん、嫌だけどとりあえずしとけというような考えではないかとの勘ぐりでもできますし、そうでないのならば、どうしてせっかくつくった制度を有効に生かす手だてを考えないのかと腹立たしくさえなってまいります。とりあえず、この制度を有効に生かすには、広報の充実と夜の会議開催、この二点を検討する必要があると考えますし、それでだめなら次なる努力をする必要があると考えますが、お考えをお聞かせいただきたく存じます。
続いて教育の基本問題でもう一点お尋ねをいたします。
二十一世紀初頭に、学校の完全週五日制が導入を見込まれておりますが、これに対して基本的にはどういう方針をお持ちでしょうか。中央教育審議会の報告の中では、この目的は、子供のゆとりの確保と、学校、家庭、地域が連携したバランスのとれた教育の中で子供の生きる力をはぐくむということになっているようですが、これまではそういう話が出てくれば、すぐにその受け皿ということに論議が発展してきたように思います。
家庭と地域ということを考え過ぎ、また小人閑居して不善をなすではないのでしょうが、土曜日に親のいない子供のことを考え過ぎる余りに、とかく地域のボランティアだとか、学校にとりあえず登校させて先生が指導するメニューに重点が置かれがちで
あったように思います。しかし、それが本当に
子供たちのゆとりの確保という主目的に合致するのかどうかというのは、私は疑問があります。
全国紙新聞社が実施したこれまでのアンケートでも、
子供たちは週五日の一部実施後に週五日への反対は九・八%というふうに激減をしておりますし、その理由としては、好きなことができる、ごろごろしていられるといったものが大半を占めておりました。つまり、子供は管理されない自由を求めているのであり、私なりにゆとりということを考えてみても、好きなことを思ったようにできる心の自由がそのゆとりにつながってくるのではないかと思います。
これまでの成功例としても、福岡県直方市の福地小学校では、ノーカバンデーとして休日の過ごし方を児童会に任せ、
子供たちが遊び方を企画して自由参加の参加者を募っている事例や、単に近所の遊び場として学校施設を開放しただけの東京都目黒区の東山中学校の事例、いきいきパスポートという形のものをつくって市内の有料文化施設を子供に無料開放して好評を博した岡山県倉敷市の事例などがあるように、自由ということがキーワードなのではないでしょうか。
また、親が家庭にいない
子供たちに自由を与えることに懸念を抱かれ、これを時短運動のてこにしたいと考える向きもあるようですが、土曜日曜にどうしても働かざるを得ない両親のいる子供の気持ちを考え、今の我が国の社会構造と娯楽のニーズを考えれば、欧米のように休日はほとんどの公共
サービスや商店も休業するようなことはとてもできないでありましょうし、その方々の考える時短はやっていただきたくありません。
また
子供たちを信頼していればそう心配することもないと考えます。ただ、一つ心配は、管理されることになれ過ぎている現代の
子供たちが、いかに早く自分のやりたいことを自分なりの方法でやれるようになるかということですが、
本市教育委員会では既にその指導を始めていらっしゃるようにも聞き及んでおります。
何か今申し上げましたこと、とりとめもない話になってしまいましたけれども、結局、私としては、この学校週五日制の完全実施に当たっては大騒ぎをするなと言いたいわけでございます。ただ、何もするなというのではなく、先ほど申し上げました倉敷市の事例のように、文化施設や公共施設を無料として子供の自主的な活動を支援したり、以前からお願いをしております、中学校区単位の、教育的見地からの科学館的児童館を整備することぐらいでいいのでないかと思うわけです。
以上、私見を述べましたが、これを御理解いただいた上での教育委員会としてのお考えを賜りたいと存じます。
〔教育長 後藤勝介君 登壇〕
◎教育長(後藤勝介君) 教育の問題について二点お答えを申し上げます。
教育委員会会議の公開につきましては、
下川議員におかれましては数回にわたりまして御質問をいただきまして、おかげさまで公開をすることができました。しかしながらただいまお話もございましたように、まだまだ今後充実をしていく必要があると考えております。そこでただいま御質問がございました会議の広報の問題、さらに夜間開催の件についてお答えを申し上げます。
会議の広報の充実は、本市の教育を市民の皆様方に理解していただくためにも重要な課題であります。今後広報の方法や内容につきましては、工夫をしながらその充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、夜間の会議の開催でございます。
ただいま御紹介がございましたが、東京都の中野区が教育委員の協議会の夜間開催を年二回実施されているようでございます。
本市では、少しでも市民の皆様方に傍聴していただけるようにと教育委員会の会議を教育機関等で実施する移動教育委員会の実施などを行ってまいりました。
しかし御指摘のように、教育を学校任せにするのではなく、社会全体で取り組むことが求められております中で、市民の皆様方が教育に関心を持ち、より一層身近なものとして感じられるような方策を考える必要があると思います。したがいまして、方策が立ち次第、早急に取り組んでまいりたいと思います。
次に、学校週五日制への対応についてでございます。
二十一世紀の初頭に導入が予定されております完全学校週五日制は、
子供たちのゆとりの確保の問題にとどまらず、二十一世紀における教育のあり方につながる問題であると受けとめております。したがいまして、教育委員会といたしましては、学校生活のあり方の再検討とともに、家庭や地域社会などあらゆる場で
子供たちが主体的に取り組んでいくための支援体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) 先ほどは大変失礼な話も申し上げたわけなんですが、後藤教育長にはよく内容は御理解いただいているようでございます。せっかくつくった制度でございますので、広報についてもよく工夫をしていただきまして、また夜の開催とかの方策につきましても、なるべく早い時期に制度を生かせる方策を立てていただいて、制度を生かしていただきますように重ねてお願いをいたしておきたいと思います。
また、週五日制の問題につきましては、
子供たちが主体的に学ぶことを支援していただけるようでございますが、今回あえてこの問題を取り上げましたのは、早い時期に根本的なものをこの場で論じておきたかったという気持ちでございます。恐らく二十一世紀初頭には完全週五日制、実施になることは間違いないことだと思いますが、実施までの間によく
子供たちのことを主体に考えまして、後日また論議を重ねていきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。
次に、資源の効率的活用についてお尋ねをいたします。
昨年からことしにかけて、九州議長会にて欧州視察団に参加をさせていただきました。また、私の所属する
平成クラブにおきましても、ハイデルベルク八百年祭に絡みましてドイツの視察と、二度にわたり福祉と環境の先進地を視察する機会に恵まれました。
福祉につきましては参考とはなりましたものの、国の税制の違いなどを考えるとなかなか直ちには生かしにくい面も感じたわけですが、環境問題と
まちづくりの姿勢ということにつきましては、本当に勉強させていただきました。
その中で、本市と対比しまして特に興味を引きましたのは、先日田尻清輝議員もおっしゃっておりましたけれども、パリで下水道を視察した折に、かの地の下水道は映画などでおなじみのとおり、中を歩いて通れるわけですが、さすがにスペースがあるため共同溝になっているなと思って配管を見てみますと、わけのわからない管がございまして、説明の技術者に聞いてみましたら、セーヌ川の水を各戸に配水する管であったわけです。つまり、河川水を中水道的に雑用水として利用しているとのことであり、これはと思いついたことがございます。
本市の上水道は清冽な地下水であり、全国に名だたる上質の水であることは衆知のとおりでございます。しかし、飲用はもとより洗車や散水といった雑用水にもこれを使っているわけでして、地下水の枯渇が叫ばれて、その涵養に知恵を絞っている現在においては、何とももったいない話でございます。わざわざ新規に配管を引き回すには余りに非効率的でありますが、今後配管の敷設がえの折等を見て、この例に倣って河川水を配水し利用してはいかがでしょうか。
また、ドイツではごみ処理が有料であるとともに徹底したごみの分別が実施され、街頭のごみ箱も空き瓶の色、また缶の種類さえ分別して投入するようにされております。本市では再資源化用の分別ごみ箱でさえわずか二十四カ所しか設置されておらず、資源の有効利用の面からの大変なおくれを感じさせられました。この手のごみ箱の増設を早急にすべきではないでしょうか。
また、かの地ではごみ集積ステーションが本市と比べて極端に少なく、市民は車でごみを捨てに来ておりましたが、ここで一つ考え方を変えますと、遠方まで捨てに行くために排出量も少なく、行政から見れば効率的な回収ができているようでございます。
現在の本市の状況からすれば、ごみステーションを減らせば市民
サービスは低下するものの、家庭ごみで三万二千円以上かかっているごみ処理原価を減額させるとともに、市民へのごみ処理意識の啓発に役立つものと考えられます。ごみステーションは、市内各地で住民間のトラブルとなっていることと考え合わせれば、この例に倣って、現在の収集体制を有料化ということとあわせて根本的にあえて考え直すべき時期に来ていると考えますが、いかがでしょうか。
さらに、友好都市であるハイデルベルクにおいては大規模のコンポストセンターを設置してありました。分別が徹底していることにより可能になっているわけですが、近隣の農家へごみを肥料として再活用しており、資源の有効活用を考えると、本市でも分別を徹底してコンポストセンターを建設すべきではないでしょうか。
そして、このセンターでは処理後の、日本では埋立処分されるような、いわゆる焼却灰を近隣のハイルブロンという町の岩塩坑に袋詰めして貯蔵してありました。なぜか。その中に含まれているダイオキシンなどの有害物質が安全に処理できるときが来るまで処理せずに貯蔵するのだそうです。
そのことを聞いたとき、以前視察したドイツの埋立地で、環境基準がないと、環境基準など必要ないと言われた意味がよくわかりました。つまりは、環境基準など必要とするものは埋め立てられていなかったのです。本市では現在、環境工場でプラスチックなどを平気で焼却し、その焼却灰も埋め立てていますが、大丈夫なのでしょうか。
また、ハイデルベルクでは焼却工場がありません。なぜなら、このコンポストセンターにおいて隣町のマンハイムのコンポストも受け持つかわりに、焼却ごみはマンハイムの焼却工場で処理をしております。本市でも、現在の財政状況を考えると、ごみ処理にかかわらず、公共施設をこのような形で有効に利用していただきたいと考えますが、これにはいろいろな国の制度の違いというものが考えられますので、三角市長に今後の課題としてそういった利用形態をお願いいたしておきたいと存じます。
以上、思いつくままに事例を挙げてみましたが、環境問題への今後の取り組みの課題として、河川水の利用のこと、ごみ処理の総合的な方向性ということを含めた再資源化についてお考えを賜りたいと存じます。
〔環境保全局長 矢毛隆三君 登壇〕
◎環境保全局長(矢毛隆三君)
下川議員にお答えいたします。
河川水の利用についてという第一点についてでございますが、将来に向けた地下水保全対策が強く求められている今日、使用目的に応じた水源の種別を多様化することは、私どもの理想の一つでございます。
そのため、本市といたしましては、平成三年度に策定された熊本市基本計画の中に、雨水利用の促進や下水処理水の再利用等を盛り込み、既に各浄化センターにおきましては下水処理水の一部を再利用しているところでございます。
しかしながら、議員御指摘の河川水を利用した中水道につきましては、ヨーロッパの先進諸国と異なり、我が国でこれを実現するには、水利権取得の困難性や配管等を含む施設に要します建設コストの問題等、相当に高いハードルがございますが、理想的な水利用の形態であります。そのことを考え、ぜひ今後の重要かつ実現しなければならない研究課題にさせていただきたいと考えております。
次に、ごみ関連の施策でございます。
ヨーロッパの例を参考に、収集体制や有料化、あるいは分別とリサイクル、さらにはコンポスト化などを含めた今後のごみ処理についてのお尋ねでございます。
言うまでもなく、ごみは単にごみとして処理されるのでなく、再び資源としてよみがえることが望ましいわけであります。まずは、資源となるごみは原材料としての利用を図り、次にダイオキシン対策などの環境保全に重点を置き、燃やした熱を有効に活用する、そして、最後に残ったごみについては安全に適正に処理をする、これを基本としたごみ行政に取り組んでまいっているところでございます。
このような視点から、今まで燃やしておりましたペットボトルなどのプラスチック類につきましても、今後は、容器包装リサイクル法の施行に伴い再資源化を図ってまいりますし、さらに生ごみにつきましても、堆肥化の実験プラントを導入し、将来を見据えたごみ処理のあり方を探っていきたいと考えております。
また、収集体制につきましては、ごみステーションの整理も含め、よりリサイクルしやすいごみ出し環境の整備を図り、また有料化につきましては、賛否両論ある中、市民のコンセンサスを得ながら慎重に検討してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、環境面から、ごみはできる限り燃やさない、埋め立てないことが肝要であり、先進地のヨーロッパの取り組みなどを参考にごみ処理に取り組んでまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) 先進地の事例を参考にいろいろお話をさせていただいたわけですけれども、河川水の利用ということにつきましては、水利権といったものもございまして、国柄の違いと制度の違いというネックも確かにあるようでございます。ただ、こういう事例を市も市民の方々に紹介をしながらボトムアップの運動につなげていっていただければと思うものでございます。
また、ごみの問題にしましても熊本市は全国でも研究が進んでいる方だと私も思っております。ただ、こういった先進地の事例をよく研究をされまして、何よりも一番ごみの問題にとって大切な市民意識の啓発ということにつなげていっていただきたいと思います。
いずれにせよ、熊本がこの件では日本一だというように、国柄の違い、制度の違いを解消できるように、三角市長も国に向かってさまざまな事例を発信をしていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、安心して快適に暮らせる
まちづくりということに関しまして四点お尋ねを進めてまいります。
まずは、中心市街地の駐輪対策でございます。
現在本市では自転車の安全利用及び駐車対策に関する条例を制定をされ、十七名の整理指導員さんを配置して放置自転車の防止に努力しておられますが、昨今の中心市街地の不法駐輪には目に余るものがございます。これは放置というよりは暫定駐輪でありまして、まさに不法のものでございます。
私も三年坂通りに事務所を持ちまして、毎日その様子を目の当たりにしているわけですが、土曜日及び特に高校の授業が早く終わる日などは十メーター幅の道路が一メーターほどしか余地が残らず、救急車が通れないということもしばしばであり、歩道は言うに及ばず車道にも駐輪していて、歩行者の通行する場所はなく、人命が危険にさらされていると言っても過言ではないのが実情でございます。
本市でも平成七年度は四十回にわたり三千三百台弱の自転車を撤去され、努力していらっしゃるつもりかもしれませんが、そういう実情を知ってか知らずか、平日の昼前後という割合に不法駐輪の少ない時間帯ばかりに撤去をしていらっしゃるようにも見受けられます。もっと徹底的に撤去すべきだという市民の声も多く耳にしますが、何せ相手は弱者の交通手段と呼ばれる自転車であり、無公害で環境にやさしい乗り物でもあります。しかも、商店街にとっては大事なお客様のことでもあり、完全にこれを排除すれば生活に響くことから、わざわざガードマンを雇って駐輪禁止区域に整理して駐輪するよう指導していた不届きな企業もあるというように、何とか共存を図らなければならないというのは御理解いただけるところではないでしょうか。
中心市街地には三千台分の駐輪場もございますが、それも満杯であり、かつ自転車の魅力は手軽に目的地の目前まで行けるというものであるために、駐輪場を建設しても焼け石に熱湯という感もいたします。
これを解消する提案として、これまで道路空間の一部を利用した自転車整理ラックの設置の御提案をこの本会議でいたしてまいりましたが、関係法令に照らして、関係部局と御相談をしていただく旨の答弁をいただいておりました。その経過はどうなっているのでしょうか。少なくとも、近隣商店街に相談されたようなことは耳にしておりません。
ロンドンでは、この整理ラックを道路の余剰空間に設置し、さらに場所によってはこれを中央分離帯がわりに利用しており、まさに有効利用が図られておりますし、国内でも川崎市の中心部では歩道上に整理ラックを設置しているという事例もあり、関係法令に照らさなくとも可能であることは明らかでございます。ラック自体も高いものでもなく、駐輪場をつくるよりもわずかな予算で都市景観が保たれ、かつ何よりも人命の危機が救われるとしたら、早急にこういう対策を実施すべきであると考えますが、改めてお答えをお願いいたします。
また、近年は不法駐輪が前科一犯になるという広報も含め、不法駐輪に厳しい措置をとる都市もふえてまいりましたが、武蔵野市では、昨年の六月より全国で最も厳しい登録制度で自転車への制約を設けながら、代替交通機関としてのムーバスというバスを走らせ、不法駐輪の解消に成功しております。ちなみにこのバスは中心部と住宅地を一周二十分程度で巡回し、十五分以下の運行間隔と二百メーター以下のバス停間隔で、しかも運賃が百円という、現在注目を集めているコミュニティーバスでございます。
このバスのシステムが本市になじむかといえば検討の余地もありますが、この例に倣い、さらに不法駐輪対策を厳しいものとしながら、代替のシステムをつくり上げる姿勢が本市には欠けているように感じられてなりません。あわせて、今後の対応に対するお考えをお聞かせください。
続いて、生け垣の奨励についてお尋ねをいたします。
現在本市では都市緑化推進の観点から生け垣コンクールなどを通して生け垣の設置を奨励し、設置補助として三万円を限度として年間七十万円程度が支出をされております。森の都と呼ばれる中にあって、担当部局でもこの緑化ということに対し大変な努力をしていらっしゃるようですが、この結果は何とも寂しい限りであり、いまだ住宅などの境界はブロック塀が主流となっております。
しかし、緑化という観点から視点を変えてみますと、先般の阪神大震災の折、このブロック塀に押しつぶされてなくなられた方も多数あると聞き及んでおりますし、またこの瓦れきを撤去する作業も大変で、復旧に時間がかかったとも聞き及んでおります。
そこで御提案ですが、いっそのこと生け垣の設置にかかる費用を全面的に市において負担してはいかがでしょうか。
ただし、これには条件をつけます。前面道路が四メーター未満の狭隘道路であった場合は本市の立ち会いのもと建築後退の線に設置をすることとし、さらにその後退した敷地は道路用地として道路管理者に寄附採納するというものです。そうすれば、緑化という面だけでなく、震災時の防災面、また火災時の延焼防止、さらには現在多くのトラブルのもととなっている建築後退、及び指摘が進んでいる狭隘道路の解消といった多くの効用が見込まれ、一石二鳥どころか一石多鳥、まさに昔話のかもとり権兵衛とでも言うような事業になると確信をいたすものでございます。
多くの予算が必要になるわけでもなく、狭隘道路の解消に、わざわざ用地を買収するようなことにでもなる前に、双方に利益のあることとして市民にも受け入れていただけるものと思いますが、このことに対する御所見を賜りたいと存じます。
〔
市民生活局長 市原敏郎君 登壇〕
◎
市民生活局長(
市原敏郎君) お答えを申し上げます。議員御質問の道路空間の一部を利用した自転車駐車ラックの設置については、私どもも有効な対策の一つであろうと考えます。
このため、昨年八月には今後の対策の基本となる熊本市自転車利用基本計画を策定し、また本年一月には商店街を含めた幅広い市民の皆さん方の御意見をいただきたく熊本市自転車駐車対策等協議会を設置し、その対策を進めているところであります。部内といたしましても、関係部局から成るワーキンググループにおいて、先進都市の事例調査や市街中心部の歩道、車道の幅員調査等を実施し、設置可能な場所及び設置方法について検討を進めているところであります。
代替システムについては、本市全体の交通システムに関する問題でありますので、今後、熊本市自転車駐車対策等協議会や関係部局、あるいは公共交通機関等とも協議を重ねていく必要があろうかと思います。
最後に今後の対応についてでありますが、特に早急な対策として、道路空間の活用を含めた小規模駐輪場の確保、中高校生を中心とした自転車利用マナーの向上、放置自転車の撤去の充実強化等を重点に、ハード、ソフトの両面から対策を進めてまいりたいと思います。
〔環境保全局長 矢毛隆三君 登壇〕
◎環境保全局長(矢毛隆三君) 緑化の面、それからまた道路の面という多面性を帯びた生け垣の奨励ということについての御提案でございます。
〔議長退席、副議長着席〕
議員御案内のとおり、本市は民有地緑化の一環といたしまして、昭和五十一年度から生け垣設置を推進するとともに、その間、設置費用に対する助成制度を拡充して取り組んでまいりました。
一方、未曾有の被害をもたらしました阪神・淡路大震災におきまして、耐震性、防火性などの防災面で生け垣の果たした役割は大変大きく、その後、本市が行いました環境保全機能調査におきましても、そのことが確認されたところでございます。
今後、本市の緑化推進におきましては、この大震災の教訓と緑の機能調査の結果を生かして、潤いや安らぎなどの景観的な面はもちろんのこと、防災面からも生け垣設置を積極的に奨励してまいりたいと考えております。
そこで、議員御提案の、建築後退を伴う生け垣設置費用の全額補助についてでございますが、貴重でかつ斬新的な御提言であると認識しております。
今後、他都市の状況調査等を行い、関係部局とも十分協議を重ねながら研究してまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) 申し上げました自転車整理ラックの設置といいますか、中心部の不法駐輪の問題につきましては、冗談ではなくて、本当に人命にかかわる問題でございます。九月の三日、四日ぐらいでございましたか、やはり申し上げましたような、道路がほとんど残らないというような状況が起こりまして、私もそのそばで車にぶつかりそうになったわけでございますけれども、一刻も早い設置をお願いしたいと思うわけですが、御答弁の中で、設置してもらえるというふうに解釈をいたしました。いろんな面で道路空間を利用しますと、道路法の問題、それから消防車の通行の問題なども考えられるのではないかと思いますが、建設局、消防局の方の御理解もいただきながらいち早い設置をお願いいたしたいと思います。
また交通の代替システムについては、確かに全体の総合的な問題であると思いますし、本市に一番なじむシステムを考える必要もあると思います。ただ、そういうシステムを構築しまして、そのかわり自転車には厳しい対応をとるよというような時期に来ているような感もいたしますので、いち早い対応をお願いいたします。
それから、生け垣設置の全額補助の問題につきましては、申し上げましたように、だれも損をする者がいないというような事業ではないかと思います。都市整備局、また建設局サイドでも、いろんな建築後退とか、狭隘道路で困っている問題も解消すると思われますし、何より防災面、都市緑化面ということには効用があると思いますので、財政当局も御理解の上、ぜひともそういった制度の構築をお願いいたしておきたいと思います。
続きまして、交通対策についてお尋ねをいたします。
今や市民の市政に関する最大の関心事は交通対策であると言っても過言ではなく、先日私も後援会にアンケート調査をしました結果では、六十歳以下の方の八割がこれに関心があるということでございました。特にその内容としては渋滞の解消ということであったわけですが、現在本市ではパーク・アンド・バスライドの試験的導入や公共交通の活性化などでさまざまな施策が展開されようとしており、私もこれまでに庁舎機能の移転などの都市機能の分散による渋滞解消策を提言したり、さまざまな解消策を研究してまいりましたが、現時点ではどれも決め手を欠いているというのが個人的な感想でございます。
しかし、先日実家の書庫をあせっておりましたところ、昭和五十三年に作成をされた熊本市都市交通問題協議会の報告書を発見いたしました。この内容に目を通してみましたら、十八年前に作成されたこの報告書に、既に現在実施されようとしているパーク・アンド・バスライドや公共交通の活性化対策はもとより、財源問題まで踏み込んだ上で、専用高速軌道の建設や主要交差点の立体交差化、豊肥本線の高架に伴う自動車専用道路の建設、及び中心部への自動車流入規制に至るまで、今論議されている以上の記載がなされており、驚きを感じるとともに、すべての対策が遅きに失したとの感がぬぐえませんでした。しかし、その報告書では、昭和六十五年の人口を七十万人と予想しており、その点からすれば、これを参考にすべての対策を講じるのに遅くはないとの感もいたします。
今、新たな対策を時間をかけて研究するよりも、このようなすばらしい報告書の内容をベースにしながら、市民の第一義的要望でもありますこの渋滞解消という問題に対し、速やかな行動を起こすべきではないかと考えます。
一方、世界に目を向けてみましても、交通渋滞の激しいヨーロッパにおきましては、たまりかねた市民の住民投票などにより、スイスのツェルマットでは町への一切の車の乗り入れを禁止し、チロル地方のインスブルックでは、道路の車線を減らし、パーク・アンド・ライド用の駐車場を建設した上で通常の半額で利用できるバスの定期券シティーカルテを発行、さらに経営の異なる交通企業を同一運賃で利用できる制度をつくるためにチロル交通連合を誕生させるなど、積極的な取り組みがなされております。
これらはほんの一例にすぎませんが、このような流れがある中で、三角市長は、本市の長としてこの市民の第一義的な関心事である交通渋滞の解消に対し何をなすべきか、またどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、先ほどの報告書のようなものの取り扱いもあわせてお考えをお聞かせていただきたいと存じます。
次に、加勢川の改修についてお尋ねをいたします。
本市の南の行政界でもあります加勢川は、これまでも改修事業が進められてまいりましたが、建設省より、大六橋下流から緑川合流点までの区間については、平成八年四月にふるさとの川整備事業としての指定を受け、いよいよ具体的な改修が進められる見込みとなっております。これで治水の問題もかなり解消するかと安堵しておりますが、改修内容検討前のいい機会でございますので、少し提案がございます。
先日の欧州視察の折に、移動でライン川を下っておりますと、どこかしこに、川の片岸の公園のようなところでキャンプをしたり休日を楽しむ方々の姿が見受けられました。なぜか両岸で見受けることがなく、不思議に思って現地の人に尋ねてみますと、もともと曲がりくねっていた川を、水害防止と船舶輸送利用のために真っすぐに改修した際に、廃川敷及び改修でできた空地を地方自治体に払い下げ、旧河川には水門をつけて治水をしながら、公共のレジャー用公園として一般開放してあるとのことでした。加勢川にもこの手法がとれないものでしょうか。
近年のアウトドアブームの中で、自然と親しめる場所が求められているにもかかわらず、都市近郊ではなかなかその場所が求められない現在、子供が自然と触れ合う場、家族の憩いの場、また若者のデートコースとして有効に活用できるものと考えます。
また、ドイツでは、河川を改修しても生態系を破壊しないよう、わざわざ自然の状態を保っておりましたが、ここにおきましても、公園化せずに農用地とか市街化用地としてしまえば、付近の防災を考えるとどうしても人工の堤防を築かねばならず、環境を破壊しかねません。しかし、旧河川もこのような形で公園とすれば、河川幅も広がることとなり、現在の堤防を生かすのみで事足り、わざわざ人工堤を築くこともなく、環境にも配慮の行き届いた河川改修ができるものと考えます。
加勢川は、今後、五月に開催された検討会を皮切りに改修内容が検討され、最終的な整備計画が策定され、建設省の認定を受けて事業実施となると聞き及んでおります。いよいよ検討を始められたこの時期に当たり、私なりに対象となる場所を考えてみますと、画図町下無田地区、御幸木部地区、元三町地先の三カ所が考えられるかと思いますが、市民のために、このうちせめて一カ所でも、全国に先駆けたモデルケースとでも言うべき河川改修が実施していただけるよう検討会に働きかけていただきたいと強く思うわけですが、三角市長のお考えを賜りたいと存じます。
〔市長 三角保之君 登壇〕
◎市長(三角保之君)
下川議員にお答えをいたします。
近年、本市における自動車保有台数は急激に増加しており、今後、社会活動や経済活動の広域化、多様化、活発化に伴い、自動車交通はますます増大していくものと予想され、議員御案内のとおり、交通問題に関する市民の関心は非常に高いものとなっております。
このような中、交通渋滞の改善に向けての対応は、都市機能向上の観点から、さらには地球的環境保全の観点からも、今や国内のみならず、世界の各都市共通の問題となっており、本市においても二十一世紀に向けた
まちづくりにとって必須の要件であると考えるものであります。
そのために地域高規格熊本環状道路を初めとする道路ネットワークの構築に向けて道路整備を強力に推進するとともに、市電、バス等の公共交通機関の利用促進や自動車交通の抑制など、道路を効率的に利用していくソフト施策についても、今後積極的に研究に取り組んでまいりたいと考えております。
二、三日前ニュースで取り上げておりましたように、貨物業者の方々が一堂に会して、中央市街地への配達を一社でまとめてやろうというふうなテストをされております。この話は、私が就任した当時からちょっと出ておりまして、本格的にこのことを考えていくんだというふうな熱意の中で取り組みができたものと思っておりまして、非常に喜んでいるところであります。
特に朝夕のラッシュ時の配達を抑制するというふうなお話になりますと非常に助かるわけでありまして、そういった民間の方々の、貨物一社集中配達方式、あるいは昨今若い方々のグループの中で、先ほどお話もありましたように、一人で乗っているマイカーの中心市街地乗り入れ禁止運動というふうなことも展開をしていこうという話も出ております。
私ども行政といたしましては、先ほどお話がありましたパーク・アンド・ライド方式の試行を本年度始めるわけでありますけれども、これが東西南北に広がっていくならば大変すばらしいことだなと考えておるところであります。これにはいろいろな隘路もありますので、試行してみましてから、これが本格的に施行できるように努力を重ねていきたい。
そしてまた、市役所から始めていこうということで、ノーマイカーデーをつくりまして、今月から早速それに取り組もうということにしておるところでございまして、これが多く市民の方々に広がっていけばというふうに思っております。
いずれにいたしましても、これはやはり市民の方々の一人一人の意識の問題に非常にかかわる問題でありまして、道路網の整備にいたしましても、熊本が一番買収率が低いわけでありまして、こういうふうな事柄につきましても、いろいろ議員各位の御支援を賜りたいと思っているところでございます。
いずれにいたしましても、交通問題は、市勢発展の上で重要なテーマであると認識をいたしておりますし、これまでの調査結果を踏まえつつ、今後とも、市民並びに議員各位、さらには県当局など関係機関の御理解、御協力を得ながら積極的に取り組んでまいる所存であります。
次に加勢川改修についてでありますけれども、河川行政の分野では、かつて未曾有の大水害を経験した本市として、市民の生命と財産の安全確保が河川対策の原点であると認識をいたしております。この河川改修は、我が市にとりまして大変重要な施策としてその事業推進に取り組んでおるところでございます。
しかしながら、その整備に当たりましては、川の持っている怖さを十分に念頭に置きつつも、川の持つ親しみややさしさを生かしたものでなければならないわけでありまして、潤いのある美しい水辺環境の創造など、質の高い河川整備を進めていかなければならないと考えております。
御承知のとおり、本市では二十一世紀に向けた都市づくりのビジョンであります熊本市総合計画の重点項目として、水と緑の生活空間の整備を掲げているところであり、また、昨年は全国に先駆け環境保全都市宣言をし、水や緑などの本市の貴重な財産である自然環境の保全創造にもさまざまな分野で施策展開を図っているところであります。
その一環といたしまして、加勢川がふるさとの川整備事業の指定を受けたことに伴い、いろいろな御提案を交えてのお尋ねでございましたけれども、私といたしましても常々同様の考えを持っているところでございます。
特にお述べになりました三地域につきましては、地域の住民の方々、
まちづくり委員会等々におきまして、元三の先にございます廃川敷につきましては、一万人が利用する青空プールとかいうふうなことで一枚の絵を書いておるわけであります。私も見せていただきましたが、民間の
まちづくり団体にしては大変よくできておりまして、何とか行政とスクラムを組みながら夢が実現できないかなと常々思っているところでございます。
今後は、市民の皆様方が親しみやすい、環境に配慮したコミュニケーションの場や、またアウトドアを楽しめる安らぎの場など、地域性を生かした加勢川の親水機能が創造できるように、加勢川川づくり検討会で論議を重ねてまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) 交通問題につきましてはいろいろな研究を進めていただけるということでございますけれども、私がお尋ねの中で御紹介をいたしました報告書のようなものは、たしか昭和五十三年ということで、市長が県議会議員になられる前のものではなかったかと思います。そういう時期ですので、お目にとまる機会もなかったと思いますが、大変すばらしいできなので、ぜひ御一読をしていただければと思いますし、また、一刻の猶予もならないというような状況に来ていると思いますので、時間をかけて検討することも必要でしょうけれども、余り研究を長く続けてしまいますとますます状況が悪化してしまうということになりかねませんので、ぜひともそういった報告書の内容などを参考にされながら即刻実行に移していただきたいものだと思いますので、よろしくお願いをいたします。
また加勢川の問題につきましては、検討会にも働きかけ論議をしていただけるということでございます。市長の地元に近いこともございますし、もしかしたら市長も小さいころそうやって加勢川で遊ばれたことも思い出しながらの御答弁だったのかなとも思っておりますけれども、ぜひとも検討会の方でもよい結果が得られますように働きかけを強くお願いいたしておきたいと思います。
次に、市民のための内部改革ということに関連をしまして三点のお尋ねを進めてまいります。
まずは、本市各種公共施設の用地対策についてでございます。
この用地対策については、事務事業の効率化と民間活力の活用の観点から、用地取得の民間委託についてこれまでも数度にわたりお尋ねをいたしてまいりましたが、そのたびに検討するから取り組むへと答弁も発展しまして、この春の機構改革では用地調整課も設置され、これが当時の答弁にあった用地プロジェクトであると理解をし、実現に期待を持っていたところでございます。ここで改めて、この民間委託についての今後の展開をお聞かせください。
また、用地取得には今や多大なる金員を要し、そのために本市に必要かつ建設すべき施設の建設が延期されているという話も耳にしておりますが、市民のニーズにこたえるには必要なものはつくるべきであると思います。
そこで、この際、市営住宅における実例に見られるように、用地を買収することにこだわらず、地上権買い上げ及び長期借地にて処理してはいかがでしょうか。
例えば、よく本会議で、民間ビルを借りていると賃料が高いので、第二庁舎の建設をという議論が交わされておりますが、よくここで考えてみますと、その建設費で現状の施設が何年借りていられるかと言えば、施設を建設するにはたしか百億円という答弁があっておりましたので、今の賃料から計算しますと百年ほど借りていられることとなるわけでございます。百年と言えばとっくに建物の耐用年数も過ぎている期間であり、借りていた方がよっぽどお得だという計算になるわけです。しかも、起債をして建設費を払えば利子を払う必要がありますが、民間に地上権料なり賃料を支払えば固定資産税もそのまま民間が負担をするかもしれませんし、さらにその他税収で市の歳入も見込める上に、民間の所得もふえて経済も活性化するのではないでしょうか。
行政の立ちおくれとはよく言われるもので、既に民間では建物の建て貸しなどで定着している考え方でありまして、いつまでも頭のかたいお役所仕事をしていては本当の行政改革はいつまでたってもできないわけでございます。
既に一部では、先ほどの市営住宅以外でも老人憩いの家などで運用されている制度なのですから、これを全体に広げ、財政の効率的運用の見地からもぜひ考えていくべきものであると思いますが、お考えをお聞かせください。
次に情報化といいますか、本市の庁内ネットの構築についてお尋ねをいたします。
今や我が国のパソコン保有数は国民比率において世界第五位へと躍進し、それに伴って経済構造の変革が起こっております。民間企業では情報通信の高度化が進み、LANと呼ばれる企業内パソコンネットがその半数以上に普及利用され、これによる電子メールの利用で意思決定が迅速化され、社内生産性が大幅に向上しております。
そして、企業のみならず、自治省においても今般の建てかえに伴う仮庁舎への移転を機にネット化を行い、パソコンの一人一台環境を実現していらっしゃいます。これにより自治省では各個人が文書を共有できるようになり、国会情報もリアルタイムで見られるなど、情報がスピーディーかつ確実に伝達できるようになったということでございます。
ここで、本市においてもいち早く庁内ネットを構築し、事務の効率化を図る必要があると思われます。特に、最近システム化されたイントラネット、これはインターネットの企業版とお考えいただければわかりやすいかと思いますが、各個人のパソコンをネットケーブルで結ぶことによりデータを共有できるもので、これまでのクライアントサーバーを使うシステムに比べて高額なそれを使う必要もなく、機種依存もないために導入費用が非常に安く上がるのが特徴でございます。
これにより電子メールの利用と情報の共有化ができれば、電子決裁システムの利用により起案文書を持ち回り、不在の場合何度も訪問するという必要もなく、また一々他課の情報を電話で聞く必要もないため時間を有効に利用できるようになります。
以前、私もパソコン会議によります庁内のペーパーレス化を提案したことがございますが、今や時代はもっと先へ進み、もはや起案文書に印鑑を持ち回り、文書の保存に神経を使う時代ではなくなってきたような感がいたします。
私が今お話ししている今回の質問の資料もかなりパソコンのネットで得たものも多く、その有用性ははかり知れないものがございます。一時期はセキュリティーの問題も取りざたされましたが、NTTさんによりまして指紋判定によるパスワードシステムも開発されておりますし、導入している企業でも、セキュリティーに最も神経を使う金融業が五〇%を占めるなど、既にこれは解決されていると言えるのではないでしょうか。
本市でも、財政の有効利用と事務の効率化の観点からいっときも早く導入構築すべきものと考えます。今般の補正予算においても、行政情報化推進モデル事業として四千三百万円の債務負担行為が議案上程されているようですが、この内容もあわせて取り組みへのお考えをお聞かせください。
続いて、機構改革についてお尋ねいたします。
本市の中核市移行に伴い、市民にわかりやすい組織ということを重点に実施された機構改革は、課名の変更のみならず二局四部一課を減らす大規模なものでございまして、私もまだ組織を十分に覚え切らない状態でございます。しかし、市民の声を聞きますと、まだわかりにくい部分も多く、さらには局が減ったことにより、一部では一人のトップに事務が集中しているようにも見受けられます。以前本会議でも保健衛生局と市民生活局の関係の深い事務を合併する議論がなされておりましたが、私なりに市民のニーズと業務量を考え合わせ、考えました結果、もう一歩これを進めて、一つの御提案を申し上げたいと思います。
まず、教育委員会は事務量も多く、本市の将来のために大変重要な学校教育部門と、市民に関係の深い社会教育部門があるためにこれを学校教育に専念するものとし、社会教育部門は高齢者対策及び自治会活動と関係が深いため、これを市民生活局へ移す、市民生活局は事務量がさらにふえ、市民生活部門と福祉部門を抱えるため、市民生活部門のみとし、福祉部門は保健衛生局の健康部門と合併して、仮称ですが保健福祉局とでも言うようなものを増設する。これによりせっかく減った局が一局ふえることとなりますが、市民
サービスが確実に向上するのではないでしょうか。
改革とはあくまでスクラップ・アンド・ビルドが基本であり、スクラップばかりでは本質を見失うこともあります。別に職員数に変更があるわけでもなく、
サービスの向上を考えれば、ぜひ早急に検討し導入すべきではないでしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。
また、職員数といえば、先日新聞で残業の問題が取りざたをされておりました。私自身、職員時代に月平均百二十時間程度の残業を行っていた経験から言えば、この残業の多さを即非とはいたしたくないと思います。昼間現場で市民と直接相対している職員は、夜にその書類を整理しなければなりませんし、その整理を執務時間中に行おうとすれば現場が滞ってしまいます。また、限られた職員で
サービスの質を落とさないでいくには、新規に職員をふやすよりも、効率から言ってやむを得ない面もあるでしょう。民間中小企業では経費の面から言って当たり前のことであり、精神論になってしまいますが、愛市精神または職員個人の資質としての労働者ではない公僕としての取り組みの姿勢だと思います。ただ、現在の職員配置に問題はないでしょうか。
過去には、月に一度から二度の繁忙期のためにそのとき必要な職員数が配置されているようにも聞き及びますし、その反面、どんなに奮闘しても処理し切れないほど仕事があり、どんなに要求しても職種の関係から配置がない部署が現在もあるようでございます。この問題は、課への所属という一つの縦枠に縛られた考え方を捨て、所属を兼務し、繁忙期のずれる部署にはお互いに応援し合えるといったような体制をとることで、ある程度緩和される問題ではないでしょうか。
サービスの質に関連して、職員数の増減を議論する前に、真の意味の改革としてこれまでの慣例にとらわれず、頭を柔軟にして実行すべき問題だと思われますが、あわせてお考えをお聞かせください。
〔総務局長 野田晃之君 登壇〕
◎総務局長(野田晃之君) 私からは用地の関連と職員配置と応援体制の問題、二点についてお答えを申し上げます。
第一点の用地取得事務の民間委託についてのお尋ねでございますが、
下川議員にはこの問題につきまして、民間活力の活用の観点から幾度か御提案をいただいたところでございます。本市といたしましては、この用地取得事務が個人の
プライバシーや私的財産権に直接かかわるなど事務の特殊性もあり、これまで国、県や他都市の状況も含め、委託の可能性について検討を進めてきたところでございます。
このような中、国におきましては、公共用地取得に伴う代替地について、その情報の提供や媒介に関する事務を専門の民間の協会に委託する方法が採用されており、近年、各県レベル、主な都市においてもこの方式の採用が広まり、熊本県においても平成八年度から実施に踏み切られたと聞いております。
本市といたしましても、この用地取得事務の民間委託事務につきまして、事務の公正性、公平性が確保できれば事務の効率化の観点からも有効な方法であると考えているところでございまして、今後、この代替地の情報提供及び媒介について熊本県や他都市における対応、実績等も十分参考にしながら、実施の方向で対応を考えてまいりたいと考えております。
次に、施設の整備に当たりまして、用地買収にこだわらず、地上権の設定や長期借地等の方法を取り入れたらどうかというお尋ねでございます。
ただいまも触れられましたように、本市でも市営住宅において一部を運用いたしており、また大都市においては、高速道路がビルの間を走るなど地上権を利用した公共施設の形態もあるようでございます。
御指摘の手法につきましては、今後それぞれ事業を展開する上で、事業ごとに内容を精査しつつ対応を考えていかなければならないと考えております。
次に、職員配置と応援体制の問題についてお答えを申し上げます。
課の枠を超えた応援体制についての御提言でございますが、限られた職員数の中で、行政
サービスの低下や行政事務の停滞を来さぬように、いかに事務の執行体制を整備していくかは大きな課題であると受けとめております。
したがいまして、事務量に応じました職員の適正配置はもとより、プロジェクト組織等の活用などと並んで、御提言いただきました、課の枠を超えた応援体制の確立、特に繁忙期等でございますが、これに努めることによりまして、弾力性、柔軟性に富んだ事務処理体制の構築に取り組ませていただきたいと考えております。
〔企画調整局長 松村紀代一君 登壇〕
◎企画調整局長(松村紀代一君) 私の方から二点ほどお答えを申し上げます。
第一点は庁内ネットの構築について、それから本市の機構改革についてでございます。
まず、庁内におけるコンピューターネットワーク構築への取り組みについてでございますが、議員御指摘のとおり、近年の情報関連技術の著しい進展に伴い、社会のあらゆる分野で情報が重要な価値を持つ高度情報化社会が具体的な形となって見えつつあるわけでございます。
国におきましても、各省庁間の情報流通を可能にするため、霞ケ関広域情報通信網の構築を目指して、平成七年度末には、その前提となります省庁内の構内情報通信網の整備が、二十五省庁のうち二十二省庁で実施されることとなっておるわけでございます。また、パソコンも省庁平均一・三一人につき一台が配置されていると聞き及んでおります。
本市におきましても、行政
サービスのさらなる向上を図るため、パソコン等による先端技術を活用した行政の高度化、効率化を進めることは急を要する課題と認識をいたしておるわけでございます。現在、情報化推進基本計画を策定すべく作業を進めておるところでございます。
また、これらとあわせまして、計画の策定に必要な基礎的なデータを集積するため、本議会に行政情報化推進モデル事業の補正をお願いいたしておるところでございます。これは庁内に部分的なネットワークを構築し、三役及び各局長等の間で電子メール等を利用して情報伝達の一層の円滑化、あるいは効率化を図るとともに、担当部門におきましても、より専門的な実験及びデータの収集を行う予定であります。
今後、これらの成果を踏まえまして、職員に対する研修や情報システムの安全対策などについても検討を加え、高度情報化に積極的に対応してまいりたいと存じます。
それから、機構改革について御提案を交えてのお尋ねでございますが、本市では本年四月一日に、市民にわかりやすく利用しやすい組織づくり、あるいは行政改革への対応といった基本的な考えのもとに大規模な機構改革を行ったところでございますが、今回の機構改革は、いわば第一段ととらえておるわけでございます。議会でもたびたび御論議をいただき、また、行政改革推進委員会の御提言でも指摘を受けておるわけでございますが、福祉部門と保健衛生部門の統合を含めた連携強化など、第二段以降に取り組むべき課題がまだ幾つか残されておるわけでございます。
ただいま教育委員会事務局の社会教育部門を市民生活局へ移管してはいかがかという御提案を交えてのお尋ねでございましたが、類似都市を調査してみましたところ、現段階では、社会教育部門のすべてを市長事務部局で所管しているところは見られないわけでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、社会教育は市民生活に深くかかわっております。また、教育委員会事務局の事務量も非常に増大いたしておりますので、今後、御提案の趣旨を踏まえつつ関係部局と十分協議検討してまいりたいと考えております。
また、保健と福祉の組織の一体化につきましては、現在、保健衛生局におきまして保健福祉連携推進プロジェクトにおきまして、連携のあり方等についての調査、研究を行っておるところでございます。御提案の保健福祉局につきましても、その取り組みの中で検討してまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) 用地取得の民間委託につきましては実施をしていただけるということで解釈をいたしました。本当にありがとうございます。
ただ、答弁の中で、公正公平が確保されればというようなお話があったわけですが、当然確保されておりますし、またそういう条項をつくっていかなければならないと思います。公正公平が確保されていなければ熊本県とか他都市でも実施されているわけがないわけでありまして、それが確保されることはもう明白でございますので、いち早い実施を強くお願いいたしておきたいと思います。
また、職員の配置と応援につきましては、いろんなプロジェクト関係も結構でございますけれども、中核市となりまして人が特に必要になっております技術部門からでも、柔軟な頭でひとつ積極的に取り組んでいただければと思います。
また、機構改革につきましては、私が申し上げた趣旨はよく御理解をいただけたようでございます。事務量が本当に増大しておる部署として二部署挙げたわけでございますけれども、ここで教育長と
市民生活局長にその感想をと言ってみたい気もいたしますが、時間もございませんし、両局長さんも、本当の市民
サービスの向上という面からも、今後そういった協議の場がありましたときには真剣に協議に参加をしていただきたいと思うわけでございます。
また、借地地上権の処理につきましても民間では既に進んでいるわけですし、行財政の効率的運用ということを考えますと、事業ごとに精査とおっしゃらずに、法的に問題のないシステムを構築しまして、すべての事業にわたって取り組んでいただければ効率的な運用が図れると思いますので、よろしくお願いをいたします。
また、パソコンのネットにつきましては、情報化ということよりも情報通信の高度化ではないかと思います。先ほど事例を若干申し上げましたけれども、それ以外にも一般企業ではもう一歩進んだフェーズに入ってきておりまして、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングいわゆるBPRがもう既に実現されようとしております。
データベースとメールを活用しまして、ベテラン社員のノウハウを、新人も含めた全員で共有できるというようなシステムを構築されておりまして、本庁舎でもネットを構築すれば、今まで考えられなかったようないかようなことでも、これからの時代できるようになってくるわけでございますし、例えば霞ケ関WANというものにも、先方と当方両端にルーターを置きましてISDNを利用すれば、直接接続をしていろんな情報も引き出せる、事務も効率化できるというようなことが考えられるわけでございます。
ただ、御答弁いただきました今回のモデル事業につきましても、パソコンを設置しても情報交換が依然として電話や会議で行われていれば一銭にもならんということでございますし、ぜひ導入されたら、配置場所を考えますと、庁議ぐらいは電子メールを使って電子会議をやっていただきたいとお願いをしたいわけでございます。
ただ、電子会議をやられて、なれないパソコンを扱って、「こぎゃん面倒くさかとはもう一般職員にも配置するのはやめとけ」というようになると困りますので、その中でよく長所をつかんでいただければと思います。
本日は、質問のいわゆる千秋楽でございまして、私も最近横顔が貴乃花に似ているということを言われて、横綱相撲をここでもとらないかんわけですけれども、なかなか横綱相撲がとれずに困っておりますが、千秋楽ということで、その他の項として一点だけ本市の今後の方向性についてお尋ねをいたしたいと思います。
本年四月、昭和三十一年の政令指定都市制度発足以来三十九年ぶりの画期的な都市制度の大改革と言われた中核市制度の創設に当たり、本市もその指定を受けて中核市となり半年が経過いたしました。この間、「福祉がようなってったい」というものを初めとして、市民へのさまざまな広報もなされ、我々も大きく行政が変わるのではないかとの期待感を持っておりましたが、市民の間からは何が変わったのかという疑問の声も多く聞かれるようでございます。
もともと、平成五年四月の第二十三次地方制度調査会の答申によりますと、中核市制度の創設の趣旨等としまして、市町村は基礎的地方公共団体としてその機能を充実発展させていく必要があり、住民に最も身近な地方公共団体である市町村にはできるだけ多くの事務を配分し、住民の日常生活に必要な基礎的な行政に責任を持つ市町村の機能を一層充実させていくことが今後の重要な課題である。社会的実態としての規模能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政ができるようにして、地域行政の充実に資するとあります。
しかし、移行後半年という短い期間しか経過していないとはいえ、何か変わったという具体的実感は感じられないようで、そのために市民の間には期待外れの失望感さえ持たれているようです。もっとも、これは全国的な状況のようでございまして、ある全国紙の主張の欄には、行政権限の強化、事務量の増加に伴う新たな財政負担や職員の確保といった課題に直面して、中核市としての具体的な施策を打ち出すことができないという状況が見られていると書かれています。さらに、市の格づけのためだけの中核市制度は、地方分権や行政改革にむしろ逆行する。個々の自治体の看板にとらわれず、市町村全体の活力を生む地方分権の推進こそ必要だと主張がなされております。まさにそのとおりではないで
しょうか。
本市におきましても、さきに発表のあったとおり、本年の普通交付税額のうち四十四億円程度が中核市移譲事務分の措置額として増額となったと推定されており、うち三億円強が単独施策に係る投資分と推測されていますが、若干の事務量の差しかない政令指定都市に比べますと、幾ら事務が限られているとはいえ、普通態様において人口の二分の一、投資において面積の三分の一に補正されているとうわさされる単独施策分の交付は余りに少な過ぎるという感もいたします。
人口一人当たりの地方債現在高は中核市中最高の三十六万五千円、人口一人当たりの積立金現在高は最低の一万三千円という本市の財政状況の中にあって、さきの主張のとおりの課題に追われて具体的な施策を打ち出しにくいということは簡単に推測できるものですが、いっときも待ったのかけられない市民生活の向上のために、三角市長は本市六十五万市民のトップとして、今後この財政措置について、単に交付税の増額ということにとどまらない根本的な問題として国に働きかけていっていただく必要があると思うわけでございます。
また、より身近な行政という観点から考えますと、例えば道路行政は移譲されておりませんが、国、県道の管理が移譲されないのは、地方自治法第二百五十二条の二十二の解釈及び運用からしても、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが効率的な事務に該当してもっともなことだとしても、本市の市道の管理及び各種の
まちづくりの見地からすれば、道路法の九十条の規定による国有財産の貸し付けを受けていない道路も多く、それが
まちづくりの妨げになっており、国有財産部局長としての事務でも移譲を受ければ、より市民に密着した
まちづくりができるような事務もあるわけです。
こういうものを今後移譲を受け、より一層の地方分権を推進して、特色ある
まちづくりができるような働きかけをしていただく必要があると思いますが、今後このような課題に対しどのように考え、また行動され、中核市としての風格をどのように保ち、またその特色を発揮し、地方分権をどのように推進して市民生活の向上を目指していかれるおつもりなのでしょうか。本定例会でもこれに関連して数件の論議があっておりますが、その総まとめとして市長の基本的な考えをお聞かせください。
〔市長 三角保之君 登壇〕
◎市長(三角保之君) 地方分権についての基本的な考え方につきましては、先日、島田議員の御質問の際にもお答えをいたしましたが、
下川議員の御指摘に対し、改めて私の考えを述べさせていただきたいと存じます。
全国的な注目を集めた今回の中核市制度に対し、議員が述べられましたように、その姿が見えにくいと言われます原因といたしましては、例えば事務の実施主体が単に県から市に移譲されたのみであること、またすべての市民が一律に
サービスを受けるような移譲事務が少ないこと、あるいは政令市と比べ区役所といった目に見える施設がないこと、などといったことが要因になるのではないかと考えております。
さきにも述べましたように、県の大まかな業務が十三万七千といたしますと、その中で九百七十一業務が移譲された。しかし三百五十九、一番目立つ保健所業務のようなものが既に移譲を受けておったというふうなこともございまして、まだまだ非常に、移譲されただけでは目に見えないというふうに思うわけであります。
しかし、中核市の本来の趣旨につきましては、事務の迅速化などによる市民
サービスの向上はもちろん、市民の声を十分に反映し、その都市みずからの判断に基づいた自主、自律的な
まちづくりができるといったことにそのねらいがあることから、中核市としてスタートした本市の変貌につきましては、これからの
まちづくりの中で、市民の皆様の御期待に沿ってまいりたいと考えております。
また、議員は、熊本市の財政は大変厳しく、移譲に伴う国の財政的支援も政令市に比べ必ずしも十分でない状況であることから、中核市にふさわしい
まちづくりを今後進めることができるのかと危惧されておりますが、私といたしましては、まずは行政改革大綱を定め、既存の行財政システムを抜本的に見直すことにより、本市の行財政運営能力を高め、中核市にふさわしい
まちづくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。
と同時に、国に対しましても、今後、中核市連絡協議会の副会長としての立場から、より多くの権限の移譲と財政的支援、さらには政令指定都市の基準のあり方も含め、あらゆる機会をとらえ、より具体的な形で要望してまいりたいと考えております。
また、県と市町村間における分権論議もあってしかるべきと考えておりまして、市民
サービスの低下につながらない形での権限移譲に対する論議も深めていく必要があると考えております。
しかし、何と申しましても、地方分権の推進の根幹をなすものは、住民の自分たちのまちは自分たちの手でといった自治の心であります。理想とする地方分権は、市民の皆様の十分な理解と関心、そして強い支持がなければ実現し得ないわけでありまして、こういった意味からも地方分権の本来の趣旨について、積極的なPRにも努めていかなければならないと考えております。
いずれにいたしましても、主役はやはり市民ということを念頭に置きながら、真の意味で住民が参加する個性と魅力あふれる
まちづくりをさらに進めるとともに、まずは中核市として与えられた権限を最大限に活用しながら、分権の受け皿である都市としての行財政運営能力の向上に努め、なお一層地方分権の推進に努力してまいりたいと考えております。
〔十四番 下川 寛君 登壇〕
◆十四番(下川寛君) ありがとうございました。
市長の基本的なお考えをお伺いして安心した部分もあるわけでございますが、行財政運営能力につきましては、中核市になるならぬにかかわらず当然のことであるかとも思いますが、一番重要なことは、市民意識が向上してボトムアップでの本当の地方分権を推進していくことではないかと思うのは市長と同感でございます。国に対して中核市として必要な分権を推進してもらえるよう発信していく、また、先ほど申しました政令市との財政的な格差、制度的な格差について、一番地域に密着した行政体として国に向かって移譲を働きかけていくということが本当に今から求められていく市政であると思いますので、三角市長の今後の御努力を期待するとともに、よろしくお願いをいたしたいと思います。
本日は、冒頭申し上げましたように、効率性ということをキーワードとして、基本的な行政の姿勢に関することから実に細かい事項までお尋ねをいたしました。
今ここで振り返ってみますと、この議会に対しまして、一部では答弁に誠実さを欠くようなものもあったかのように思いますが、そう見えながら、実はその事項の事業化の可否の検討に時間がかかっているものであるようでございます。ここで申し上げるまでもなく、事業化の可否を検討されるのは当然のことであり、市民の大事な税金を運用するのですからこれを慎重に行うのも当然です。しかし、検討に時間がかかる余りに時を逸し、事業効果が薄れてしまうことも往々にしてあることですし、また近年の社会情勢の変化は速く、事業化するときにはそれに適応しなくなることもございます。特に内部改革の問題については、タイムリーに即刻実行すべき問題を多く含んでおりますので、これに限らず答弁を誠実に履行していただくことはもとより、事業を検討される場合にはせめて数カ月の範疇にとどめていただきたいと思います。
これで本日用意しました質問はすべてお尋ねをしたわけですが、質問を閉じるに当たりましてあと二点だけお願いがございます。
よくある議会答弁の表現に、他都市の状況を調査してというものがございますが、全国一般市では二番目の都市規模を持つ本市にとって、余り国内他都市において参考になる事業もありませんし、もし参考になったとすればそれは本市が立ちおくれていることにほかなりません。そういう調査を行うよりも、本市が他都市をリードしていけるような施策をいち早く研究して実行していくことが、今の本市に一番求められている姿勢かとも思いますので、執行部の方々にはそれを念頭に置いた行動をとっていただくこと。
また、行政改革が現在論じられておりますが、行政を意味します英語のガバメントは、ギリシャ語のかじ取りがその語源であるそうで、まさにその意味するとおり、現代においては行政の役目を社会のかじ取りと考えていくべきであり、みずからが進んで船をこぐよりも、こぐことは民間に任せて、民間活力を活用して行財政の効率的運用と、民間経済の浮揚及び市民の行政への参加を促せる施策を考えていただくこと、最後にこの二点を三角市長以下執行部の皆様に改めて強くお願いをいたしまして質問を終了させていただきます。
長時間の御清聴まことにありがとうございました。心より感謝申し上げまして降壇いたします。(拍手)
─────────────────
○副議長(宮原正一君) 本日の日程はこれをもって終了いたしました。
この際、お諮りいたします。
明十四日から九月十九日まで六日間は休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(宮原正一君) 御異議なしと認めます。
よって、明十四日から九月十九日まで六日間は休会することに決定いたしました。
次会は九月二十日(金曜日)定刻に開きます。
─────────────────
○副議長(宮原正一君) では、本日はこれをもって散会いたします。
午後零時三分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり